長崎市北部に位置する滑石(なめし)。現在は住宅街が広がり、多くの人々が暮らすエリアですが、この地には昔から「夜になると石が動く」という不思議な言い伝えがあります。

「滑石」の由来と不思議な現象
滑石という地名は、もともとこの地域の岩や石が滑らかで水に濡れるとツルツルと滑りやすかったことから名付けられたとされています。しかし、地元の古い伝承によると、滑石の石はただ滑りやすいだけではなく、夜になると自ら動くと言われていました。
ある住民によると、深夜に外を歩いているとカタカタと石が転がる音が聞こえることがあるそうです。しかし、音がした方向を懐中電灯で照らしても、そこには何もない…。翌朝になると、前日までなかった場所に小石が集まっていたり、大きな石の位置が変わっていたりすることがあるのだとか。
伝説のルーツ – 落ち武者の石塚?
この地域では江戸時代以前から小さな集落が点在し、戦国時代には落ち武者たちがこの地に逃げ延びたという話も伝わっています。滑石周辺には、かつて小さな塚(墓石のようなもの)が点在していたとも言われ、今は宅地開発などでほとんど残っていませんが、地中深くにまだ埋まっている可能性もあります。
一説には、動く石は落ち武者たちの霊が迷い続けている証拠とも言われています。彼らの魂が未だに成仏できず、静かに何かを訴えかけているのかもしれません。
現在も残る証言
「滑石の石が夜に動く」という話は、今でも年配の住民たちの間で語られています。特に、古くからこの地に住んでいる家では、夜中に庭石の位置が変わっていたという体験談があるそうです。
ある高齢の男性はこう語ります。
「子どもの頃、夜に外で遊んでいたら、小石がパチンとはじける音がした。何かと思って見たら、石が少しずつ転がっていたんだ。怖くなって家に駆け戻ったよ」
また、ある家の庭では、大雨の翌朝に石の並び方が変わっていたことが何度かあり、不思議に思っている住人もいるとのこと。
科学的な説明? それとも…
この現象について、地盤の緩みや雨による浸食、動物による影響などが考えられます。しかし、それでは**「音がするのに誰もいない」「石が勝手に動くのを見た」という証言**の説明がつきません。
現代の住宅街となった滑石でも、古くから伝わるこの不思議な言い伝えは、今も密かに語り継がれています。もし夜に滑石周辺を歩く機会があれば、足元の石に注意してみてください。あなたのすぐそばで、ひっそりと動いているかもしれません…。
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